旅館に、もっと熱を。Staff Blog

スタッフが綴る富嶽はなぶさをお楽しみください

技術は自分だけ持っていても仕方ない。

穴子は背開き?腹開き?

穴子は、胴が短く全長が長いので、普通の魚とは捌き方が異なる。目打ちで頭を押さえて、中骨に沿って開き、同時にヒレなどを除いていく。言葉にすると簡単ですが、実際にやってみると難しいと思います。僕も若い時に、怒られながら結構練習しました。
でですね、穴子や鰻などは関東と関西で捌き方が異なります。
関東は「背開き」 関西は「腹開き」
理由としては、関東では腹を切る”切腹”は、縁起が悪いとされているから。逆に、関西では”腹を割って話す”のが良いとされているから。だそう。静岡県にあるはなぶさ旅館では、背開きで開きます。今年は、当館の若手板前にも捌き方を伝授。
技術は自分だけ持っていても仕方ない。伝えていかないと廃れていきますからね。四苦八苦しながら捌いていました。

穴子は、捌いたら皮目に熱湯をかけて滑りを取り、臭みを除いていく。皮目に熱湯をかけると、ヌメヌメした部分が白く浮き上がるので、包丁でこそいで流水でしっかり流します。それから、水に大量の酒と生姜を入れて、穴子の身を柔らかく戻す。この「柔らかく戻す」のが重要で、酒の成分で身を柔らかくします。穴子が柔らかくなるまでは、一切の調味料は入れません。酒・水・生姜のみ。らかくなったら、後は煮魚を炊くように味を入れていきます。大事なのは「両味で炊く」です。甘くもなく・しょっぱくもなく。まぁ、これが難しいのですがね。
炊いた後に残った汁は、寿司にした穴子に塗ると美味。ですので捨てない様に。ちなみに、穴子のゼラチン質だけで、煮汁は写真の様に固まります。固まった煮汁は、そのまま小分けにして冷凍庫で保存するのがオススメ。冷蔵庫だと、小まめに火を入れないと腐ってしまうので。是非、桜の葉の塩漬けを買ってきて、穴子寿司を包んで召し上がってみてください!