旅館に、もっと熱を。Staff Blog

スタッフが綴る富嶽はなぶさをお楽しみください

「客単価を上げる」という違和感

手段と目的のお話

先日、ラーメン屋さんに行ったら焼売をオススメされた。なんだかソースが変わったからぜひ食べて欲しいと。

ちなみにこちらのお店の方とは顔見知りだ。「じゃあ、チャーハンと焼売をお願いします」となるのは日本人の性ですよね。

提供されたチャーハンと焼売を食べていると店員さんから「どうですか焼売?」という声が。

本当に美味しかったので「美味しいですねコレ。最高ですよ」と伝えると、嬉しそうに「ありがとうございます」と言いながらこだわりなども聞かせてくれた。

最後に「こうやってこれから客単価を上げていこうと思っているんですよ」と。

その一言に少しだけモヤッとした。

同じサービス業として「客単価を上げる」という事の重要性も理解しているし、個人経営ラーメン店の薄利多売なビジネスモデルの限界もある程度分かっている。

このモヤモヤした気持ちは、しっかりと解像度高く言語化し、咀嚼することにする。

宿の紹介ブログからは程遠いので、「興味ないわ」という方はそっとブラウザを閉じてくださいませ。

 

なぜ客単価を上げるのか

先のラーメン屋の話に戻る。

「客単価を上げる」という方向はとても良いことだと思う。日本は色々なものが安いですから。いや、安すぎる。

  • 牛丼が350円で食べられたり
  • 有名なラーメンでも850円だったり
  • 10,000円で食べ放題・飲み放題の宿泊施設があったり
  • 3,500円で1時間のマッサージができたり

と。

食材の値段も高騰を続けているし、最低賃金もどんどん上がっている。水道光熱費も値上がりを続け、昨今の原油価格高騰により他の多くのものが値上がりしています。

この状況で「値上げは悪だ」と声を上げる人こそ悪魔だなと。

では、何故僕はモヤッとしたのだろう

 

手段と目的

ラーメン屋さんの本心は分からないのは前提で、僕はラーメン屋さんの一言に「客単価を上げるために焼売を推している」と感じてしまったのかなと。

”客単価を上げる”というのは、あくまで”手段や戦略”であって「目的」ではないから。

  • 美味しい焼売で多くの人を豊かにしたい
  • 忙しい日常でラーメン屋だけでは少しの贅沢を味わってほしい
  • 焼売という素晴らしいプロダクトで地域や世界を変えていきたい

最後は大袈裟かもしれないけど、そんな目的がある中で「客単価を上げる」という戦略を選んでいくのかな、と。

ユーザーに向かって「客単価を上げるために頑張ってるんです」と言っても間違いなく同意は得られない訳で。

だからこそ自分達の理想や目的を共有し、「なぜ単価を上げるのか」を丁寧に説明する必要がある。「なぜ焼売を推すのか?」「なぜ単価を焼売代を多く支払っていただくのか?」を丁寧に。

僕らも「同じように思われているんだ」と意識しないといけないな、って強く思いました。「客単価上げてモヤっとしている」と思われている、と。

富嶽はなぶさも、2月からスタイル変更をして単価を上げた。

概ね好評の声をいただいているが、

  • 「以前のままで良かった」
  • 「利益至上主義になるのはどうかな」
  • 「上質なアメニティなんか必要ない」

などの意見もあるのは事実で。

 

富嶽はなぶさの目的

当館の目的は「富嶽はなぶさに関わる人を豊かにする」です。受け売りの理念ですが1番しっくりきています。

  • 旅館の滞在を通してお客様を豊かにする。
  • 家族との大切な思い出が出来た
  • また来たいと思う宿になった
  • 2人の思い出の地となった
  • やっぱり旅行って良いなと再確認した
  • 「明日から仕事頑張ろう」って思える旅だった

などなど、僕たちの目的は「豊かさを創造する」。そのために全力を尽くす。

では、豊かさ創造するには何をしたら良いだろう?

  • アメニティを上質なものに変更する
  • サービスをアップデートし続ける
  • チェックインオペレーションを変更する
  • 料理をもっと良いものにする

上記はあくまで「戦術」だ。豊かさを提供するには?を追求するための戦術。

結果として「単価を上げる」という戦略を取る。豊かさを提供するための戦略

難しいけど、そういうことなんだろうな、って。

これからも丁寧に「僕たちの目的」について説明していきます。

  • なぜ料金を改定するのか
  • なぜ館内工事をするのか
  • なぜ社員研修を続けるのか
  • なぜ料理をアップデートするのか

ブログやSNSを通して発信し続けていきます。

また、豊かさを提供する相手はお客様だけではなく、社員やアルバイトスタッフ、関連業者様や地域の方など、富嶽はなぶさに関わる全ての人を豊かにしていきたいのです。

その為に何をするか?

模索する日々は続きます。