旅館に、もっと熱を。Staff Blog
スタッフが綴る富嶽はなぶさをお楽しみください
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伊豆長岡はミニトマトの一大生産地なのです。
静岡県内の7割近くが、ここ伊豆の国市で生産されているのは最近知ったこと。
市内には50を超えるトマト農家があり、それぞれが見事なトマトを日々作っている。
ミニトマトは形が悪かったり、割れたりしてしまうと商品としては出荷が出来なくなってしまいます。
驚くことに、伊豆の国市では毎回50kg〜100kgのミニトマトが廃棄されています。50kg〜100kgですよ、考えられますか?
「じゃあ傷もので安く販売すればええやん」と考えがちですが、傷ものを安く販売してしまうと正規品の価格が暴落してしまうのです。すると農家さんの売上も下がってしまい、結果的には良いトマトを作り続ける事が出来なくなります。
「22年も廃棄し続けてきました」と、先日農家さんから悩みを聞きました。
ミニトマトは酸味が強いためトマトソースなどへの加工に向いていなく、傷ものトマトの行き先があまりないのが現状。
そんな農家さんの悩みに「どうにかできないか?」となるのは料理人の性で。
やはり、地元に貢献したいし、地元の美味しい食材を衰退させたくないし、美味しい食材をお客様に届け続けたいし。
まずは朝食のおめざに「自家製トマトジュース」を提供することに。
と言っても、既に美味しいミニトマトですのでゴチャゴチャ味付けをするのは無粋。
そのままの味を楽しんでいただこうと、スロージューサーで熱を加えずにジュースにしました。
ミニトマトは加熱すると酸味が立ってしまい、かなり酸っぱくなるのが特徴。ですので、熱は一才加えずに美味しさをそのまま抽出します。
普通のトマトジュースとは違い、サッパリとした味わいで朝の一杯にピッタリ。「うん!美味い!」となります。
変わった朝食とともにお楽しみくださいね!
調理場スタッフにも”ミニトマト廃棄の現状”を相談すると、「じゃあなんか考えてみます」と。
ベテラン板前の和泉さんは、スロージューサーでジュースにした果汁を濾して2色のゼリー寄せにしてくれました。
トマトは濾すと透明な液になります。その原理を利用し、透明なジュースと果汁に分け、それぞれをゼリーにして2色に寄せました。
柔らかく仕上がったゼリーは口溶けも良く、トマトの酸味と旨味が口の中に広がります。透明なゼリーもトマトの味が濃縮していて美味しいんですよ。
圧倒的なアイデアとスキルにあっぱれです。
トマトジュースを濾すのには丸一日ほど掛かり、かなり手の込んだ前菜の一品となっております。
是非是非、3月の前菜もお楽しみくださいね。
廃棄されるはずだったミニトマト。
ここにもSDGsという考え方があるのかと。
料理人として、地元民として、旅館経営者として、目の前にある課題を微力でも解決していきたい。
サスティナブルは、別にビニール袋を減らすだけではない。大切に育てられた食材を、「形が悪い」という理由だけで棄てられてしまう問題だって同じかと。
廃棄寸前だったミニトマトに新たな息吹を吹き込んでくれる職人にリスペクトを。
また、美味しいミニトマトを作り続けてくれる農家さんにも最大限のリスペクトを。
ぜひ、伊豆の味をご賞味くださいませ。
農家さんから大量に頂いたミニトマト。
素材の味を生かしつつ、何か面白い物に変化させることは出来ないか?
とっ想像していたら、こうなりました!美味凝縮、2層のトマトゼリー。
美味し! pic.twitter.com/h7hkYno6RI
— 和泉正人 (@IZUMlMASATO) February 18, 2022
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