旅館に、もっと熱を。

デザートプレートに想いを込めて

旅館の役割は「人に喜んでもらう事」だと再認識

結婚10周年のお客様

先日、香川から友人のご家族がご来館してくれました。結婚10周年のお祝いに、わざわざ車で8時間かけて伊豆まで。伊豆を目指してくれたのは、おこがましいですが”僕が友人だから”だと思います。じゃないと、香川からわざわざ来る理由がありませんから。「自分を目指して来てくれる」、宿業をやっていてこれほど嬉しいことはありません。それもとても大切な記念日に。

皆さんは、宿泊先を選ぶ時はどういう基準で選びますか?

値段・雰囲気・料理・施設・温泉・サービス・スタッフの対応 などなど、様々な部分で振り分けをされますよね。僕も宿泊先を選ぶ際は、様々な部分を考慮して選びます。で、多くの方はやはり「お値段」を一番重要視されますよね。それは当然です、まずは価格を決めないとですもんね。でも、「”はな”がいるから」と選んでくれる人もいる。そんなお客様にはどうしても過剰にサービスをしたくなる。だって人間だもの。どんなお客様にも同じようにサービスをするのが我々の仕事ですが、こればっかりは仕方がない。

さて、友人が香川から結婚10周年の記念にご来館してくださる。もちろん何かして差し上げたい。いつもであれば、お刺身を皿盛りにしたりして豪華にするのが僕らの感謝の表現方法なのですが、奥様は妊娠中でそこまでお料理の量が食べられない。しかも刺身は生物。・・お刺身の皿盛りという案はナシだな。では和牛や鮑で豪華にするか?・・いや、食事の量は少なめが良いのだからこれ以上の料理は不要だ。・・・さてどうしようか?

ということで、デザートをお祝いのデザートプレートにして喜んでいただこう!という事に相成りました。はなぶさ旅館の時は”誕生日プラン”や”記念日プラン”の際に提供していたデザートプレート。チョコペンでプレートにメッセージなどを添えるのですが、僕はメッチャ下手だったのです。和食ではやらない技法なので、まずやり方も分からない。教えてもらう相手もいない。何とか誤魔化しながら提供していましたが、何となくいつも納得できずにいました。で、先日フレンチ出身のシェフ・高場さんが入社してくれたので教えてもらう事に。

さすがはフレンチで腕を磨いただけあります。実は、市販のチョコでやったので粘度がメチャメチャ高くて普通なら「出来ない」というチョコの質だったのです。が、そこは熟練の技で何とか形にしてくれました。あっという間に出来あがっていくプレートを見て、「すげー」しか言えなかったのは紛れもなく僕です。チョコペンの決め手は”絞りの作り方”だそうなので、今度は業務用のチョコを仕入れて練習しようと思っておりやす。

自家製のティラミスとフルーツを添えて。ティラミスも一から全て手作りで作りました。甘さが上品でビターなティラミス。甘いものがあまり得意ではない僕ですが、心から「美味い!」と叫ぶ逸品。奥様もお子様も友人も、皆さんメチャクチャ喜んでくれました。息子くんの「食べるのもったいないね!」という一言が、心から嬉しい言葉でした。

やはり、僕らは「人に喜んでもらう」のが仕事なのだと再確認しました。日々の忙しい業務の中で、”特別な1日を過ごすお客様”を”ある日のお客様”にしていてはいけないと。そして、常に喜んでもらえるように行動しないとなと。僕らを目指してくれるお客様には、僕らの最大限の喜びを提供していきたいから。