旅館に、もっと熱を。

一番手のかかる秋の味覚”栗の渋皮煮”

丁寧な仕事が最後の美味しさに繋がる

味覚の秋

10月に入りましたね。伊豆長岡も朝晩はすっかり寒くなりまして、夜は上着が必要なくらいです。日中は暖かいですがね。

伊豆長岡温泉・富嶽はなぶさの料理は、献立が毎月変わります。3ヶ月に1回程度の献立変更をする旅館が多い中、当館は「月替り会席」。・・何故か?

日本料理は”四季”を感じていただく料理です。四季の無い料理は”日本料理”ではありません。「春・夏・秋・冬」と大きく分けて4つですが、年に4回だけの献立変更ではとてもじゃないけど四季を表現出来ません。10月と12月では、気温も景色も全然違いますし、まず食材が違います。食材豊富な伊豆の味覚を提供するには、”月替り”の献立変更は欠かせません。と言うことで、10月の献立から少しご紹介しようかと。

栗の渋皮煮。秋の味覚の代名詞「栗」。既に栗が大量に出始めまして、秋を感じている次第です。今年は栗の質が非常に良くて助かります。

栗は、剥いて裏ごしして茶巾にしたり、デザートで使ったりしますが、富嶽はなぶさの定番は「栗の渋皮煮」です。毎年、お客様から大好評のスペシャリテ。

栗は、身と鬼皮の間にある”渋皮”を傷つけないように鬼皮を剥き、重曹と塩で沸かしてから渋皮の余計な部分を竹串で取り除きます。

渋皮は、傷つけて破れてしまうと使えないので、ここまでが非常に気を使う仕事なのです。しかも栗の総量は15kg。正直、一年で一番大変な仕込みです。神経を相当使うので。

でも、富嶽はなぶさの渋皮煮は格別。売り物の渋皮煮とは全然違い、甘みがまろやかで食感も柔らかすぎず、硬すぎず絶妙な具合。ほっくりした栗の甘みと蜜の甘さ、それに渋皮の食感が交わって本当に美味しいです。

75℃でゆっくり味を入れていくので、時間がかかる仕事。全工程で1週間近くかかりますご家庭で栗の渋皮煮を作りと、シワが寄ってしまいますよね。あれは、ゆっくりと火を入れていないから。プロはゆっくり、そして段階的に味を濃くしていきます。仮蜜を2回、本蜜を1回。だから美味しいのです。

富嶽はなぶさのスペシャリテです。10月の前菜の一品に入っているのでお楽しみ!